昼休みになると、
向かいの席のやつが、必ず顔をしかめる。
決まって、同じタイミングだった。
弁当を開けて、
しばらくしてから。
ぐっと目をつぶって、
一瞬だけ、止まる。
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最初は、気にしていなかった。
梅干しでも入ってるんだろうと思っていた。
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でも、毎日だった。
しかも、弁当の中身は違う。
唐揚げの日も、
焼き魚の日も、
同じ顔をする。
さすがに気になった。
ある日、聞いてみた。
「それ、毎回なんなの?」
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そいつは、少し考えてから、
「ああ」と言って、
弁当箱の端を指さした。
そこには、小さな梅干しが一つ入っていた。
「これ、最後に食べてるだけ」
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いや、タイミングおかしいだろと思ったが、
その日はそれで終わった。
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次の日も、また同じ顔をした。
やっぱり、最初の方で。
気になって、こっそり見ていた。
弁当を開ける。
箸を取る。
そのまま、何も考えずに、
一番最初に梅干しを食べた。
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そして、
いつも通りの顔をした。
—-
「最後に食べてるって言ったよな?」
そう聞くと、
そいつは少し黙ってから言った。
「気持ちの話、ね。」