皿の上に、ウインナーが五本ある。
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父が一本取る。
兄が一本取る。
自分が一本取る。
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残りは、二本になる。
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ここからが始まりだった。
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誰も取らない。
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二本あるのに、
誰も手を出さない。
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兄はごはんを食べる。
父は味噌汁を飲む。
自分は箸をいじる。
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全員、見ていないふりをする。
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でも、
二本が減らないことだけは、
全員分かっている。
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母が皿を引き寄せた。
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一本を箸で取り、
そのまま食べる。
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少しだけ間を置いて、
もう一本も食べた。
「冷めるからね」