◼️ 食事は「作る」より先に「運ばれていた」 弁当宅配の歴史を考えるとき、 見落とされがちなのが「運ぶ仕組み」です。 江戸時代、日本にはすでに高度な物流網が存在していました。 それが飛脚です。…
続きを読む茶碗を見れば分かる。 今日は麦ごはんだ。 —- 兄と目が合う。 何も言わない。 —- 母はいつも通り、 「体にいいからね」と言う。 —- 麦ごはんの日は、 父の食べる速さが違う。 &#…
続きを読む皿の上に、ウインナーが五本ある。 —- 父が一本取る。 兄が一本取る。 自分が一本取る。 —- 残りは、二本になる。 —- ここからが始まりだった。 —- 誰も取らない。 …
続きを読むうちでは、テレビがつくまで、誰も箸をつけなかった。 晩ごはんの時間になると、ちゃぶ台の上に皿が並ぶ。 湯気だけが先に立っているのに、まだ食べてはいけない。 父が座って、 母が最後の一品を置いて、 兄が箸を止める。 それか…
続きを読むうちでは、コーラは特別な日だけだった。 誕生日か、 何かいいことがあった日。 それ以外は、絶対に出てこない。 —- だから、冷蔵庫にあるのは知っていても、 勝手に飲むことはなかった。 —- ある日…
続きを読むその日は、少し寝坊した。 台所に行くと、味噌汁が置いてあった。 もう冷めていると思って、椀を持ち上げる。 一口、飲む。 温かい。 思ったより、ちゃんと温かい。 そのまま、全部飲んだ。 —- 次の日も、少し寝坊…
続きを読む昼休みになると、 向かいの席のやつが、必ず顔をしかめる。 決まって、同じタイミングだった。 弁当を開けて、 しばらくしてから。 ぐっと目をつぶって、 一瞬だけ、止まる。 —- 最初は、気にしていなかった。 梅…
続きを読む最初に気づいたのは、朝だった。 昨日買ったはずのおにぎりが、 机の上に二つ並んでいた。 確か、夜に一つ食べたはずだった。 袋には二つ入っていたから、 一つ残っているなら分かる。 でも、二つあるのはおかしい。 —…
続きを読むかあちゃんの卵焼きは、いつも少しだけ甘かった。 甘すぎるわけじゃない。 でも、他で食べるより、ほんの少しだけ甘い。 子どものころは、それがあまり好きじゃなかった。 —- 弁当には、必ず入っていた。 端っこに、…
続きを読むその客は、月に一度だけ来た。 決まって同じ時間、 決まって同じ言葉。 「具のないおにぎりを二つ」 店主は何も聞かず、 静かに二つ握る。 塩だけのおにぎり。 それを受け取ると、客は少しだけうれしそうに帰っていく。 R…
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