うちでは、コーラは特別な日だけだった。
誕生日か、
何かいいことがあった日。
それ以外は、絶対に出てこない。
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だから、冷蔵庫にあるのは知っていても、
勝手に飲むことはなかった。
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ある日、父がコーラを持って帰ってきた。
「今日は特別だ」
と言って、
テーブルに置く。
理由は言わない。
でも、みんな少しだけうれしくなる。
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グラスに注ぐ。
泡が上がる。
一口飲む。
やっぱり、特別な味がした。
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次の日、冷蔵庫を開けた。
昨日のコーラが、少し残っている。
手を伸ばして、
ふと、考える。
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そのまま、
冷蔵庫を閉めた。